環境問題を語る際に耳にする「環境基準」と「規制基準」についてお話しいたします。

環境基準は、「人の健康の保護及び生活環境の保全の上で維持されることが望ましい基準として、環境基本法(及びダイオキシン類対策特別措置法)で規定されています。

また、環境基準は、環境保全のための行政施策の指標となるもので、現在、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音及びダイオキシン類について設定されています。

一方、規制基準は、工場などから排出される汚染物質等を規制するための基準であり、一般的には、排出基準や排水基準等と呼ばれています。

環境基準は、対象物質の健康への影響に関する科学的知見等をもとに設定され、規制基準は、環境基準が設定されている物質では、この環境基準を達成し、さらに積極的に維持することを想定して設定されます。

例えば、工場から河川等の公共水域に排水を排出する場合には、水中での希釈効果等を考慮して、一般的には、環境基準の10倍の濃度が排水基準として設定されています。

また、大気汚染に関しても、煙突等の排出口から大気中に排出された汚染物質について、地表に到達するまでの拡散効果等を考慮して排出基準が設定されています。

さらに、廃棄物焼却炉等から排出される排ガス中のダイオキシン類については、大きな社会問題となったことから、大気拡散の効果以上に、より厳しいレベルとして、技術的に達成可能な最高の水準が排出基準として設定されています。

このように、規制基準は、環境基準を指標としながら、個別の行政施策を反映させて設定されるものと言えます。