ポリエチレンやペット樹脂など現在普及している多くのプラスチックは、丈夫で腐らないという特徴を活かして幅広い分野で利用されてきました。
一方で、これらのプラスチックは、土壌や海洋などの自然環境の中では、ほとんど分解されることなく長期間残存するため、様々な環境問題を引き起こしています。
生分解性プラスチックとは、自然界に存在する微生物などの働きによって、最終的には二酸化炭素と水に分解されるプラスチックをいいます。
生分解性プラスチックには、様々な種類がありますが、現在実用化されている生分解性プラスチックは土壌環境で分解されることを想定したものが多く、ごみ埋立地での分解性や農業用ビニルの散乱対策などをセールスポイントにしているものがあります。
わが国のプラスチック資源循環の指針として2018年に策定された「プラスチック資源循環戦略」では、「生分解性プラスチック」について、再生可能資源を原料とする「バイオマスプラスチック」とともに、循環型社会に適した素材として一層の導入が提起されています。
しかし、環境に優しいとされる生分解性プラスチックですが、普及にあたっては様々な課題もあります。
現在大きな社会問題となっているプラスチックによる海洋汚染に関しては、海洋環境中で分解性のある生分解性プラスチックはごく限られており、今後の技術進展が待たれます。
また、自然界で分解されることから、安易に不法投棄を誘発するのではないかとの危惧も指摘されています。
さらに、今後、プラスチックのリサイクル、特にマテリアルリサイクルが進む中では、生分解性プラスチックのリサイクルの方法についても議論になるものと思われます。