今が旬の「たけのこ」ですが、成長すると「竹」になります。「竹」はイネ科に属する植物で、草のような特徴もあれば、樹木のような特徴もあります。「竹」の幹は“稈(かん)”と呼ばれ、節があり、中は空洞になっています。成長は非常に早く、一日で1メートル以上伸びることもあります。「たけのこ」は地下茎の節にある芽から生じ、この地下茎の繁殖力は強く、横にぐんぐん伸び、1年で5メートル以上成長することもあるそうです。「竹」が成長が早いのは、節ごとに“成長点(細胞が分裂して成長する部分)”があり、節の数だけ成長するためです。種によっては1年で10メートル以上伸びるものもありますが、数年で成長は止まります。竹林の竹は、すべて遺伝子が同一の クローンだそうです。
「竹」も花が咲きます。「竹」は繁殖力の高い地下茎を広げ、たくさんの「たけのこ」を生やして竹林を作りますが、寿命が近づくと竹林全体で花が咲き、その後一斉に枯れてしまうそうです。種類によっては種ができたり、地下茎から「たけのこ」が生まれて再生するものもあるようですが、開花のメカニズムはまだ解明されていません。開花周期は種類によりますが、およそ60年から120年前後といわれています。日本では1950年から1960年頃に真竹が全国的に開花し、その後竹林が一斉に枯れ、竹材が不足したため、プラスチック製品に置き換わったそうです。「ハチク」の開花は120年周期といわれ、前回は1908年前後に開花したことが分かっています。そのため、次の全国的な開花ピークは2028年頃と予想され、すでに数年前から一部で開花が始まっているそうです。120年ぶりの「ハチク」の開花、ぜひこの目で見てみたいですね。
食用の「たけのこ」として一般的なのは「孟宗竹(もうそうちく)」の「たけのこ」で、 3月から5月にかけてが食べ頃です。煮ても焼いてもおいしく、独特な歯ごたえで、さまざまな料理に活用されています。「たけのこ」は食物繊維が豊富で腸内環境を整え、コレステロールの吸収を抑える働きや、塩分の排出を促すカリウムを多く含み、動脈硬化や高血圧の予防も 期待できると言われています。