携帯電話やパソコン、カメラ、電気カミソリなど、私たちの生活の中で広く使用される小型の家電製品には、鉄やアルミ等の汎用金属に加えて、金、銀等の貴金属や電子機器等の高性能化に必要な各種の希少金属(レアメタル)が含まれています。

このため、使い終わった小型家電製品からこれらの金属資源を効果的に回収し、リサイクルするため、2013年に「使用済小型家電電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」が制定されました。

この法律では、対象となる小型家電が28品目指定されており、市区町村が一般消費者から回収した使用済みの小型家電は、認定を受けたリサイクル事業者(認定事業者)が有用金属をリサイクルし、また、事業所等から出る小型家電も、産業廃棄物として、同様に認定事業者によるリサイクルルートに乗せることとされています。

日本で1年間に使用済みとなる小型家電は65万トン、そのうち有用な金属は28万トンに上ると推計されています。

令和2年度における小型家電の回収量は約10万トンと過去最高量に達し、金属類が約5万トン取り出されリサイクルされましたが、回収量は、当面の目標とされる年間14万トンには及はず、その後は漸減して令和5年度には9万トンを下回っており、回収量の増大が課題となっています。

なお、小型家電リサイクル法の運用は多くが市区町村に委ねられていますが、最近では、有用金属をリサイクルする目的以外にも、リチウムイオン電池による廃棄物処理現場での火災事故を未然に防止する観点から、電気製品から取り外しできないリチウムイオン電池の受け皿としての役割も注目されるところです。