ストレス社会の中で、猫は癒しの存在として人気が高まっています。「猫がそばにいるだけで癒される」「猫を撫でているとリラックスする」という声も多く、人の健康にもさまざまな効果があるのではないかと言われています。今月はそんな猫のさまざまな効果について調べたのでご紹介いたします。

なぜ猫といると癒されるの? (原始時代から動物は癒しのバロメーター)
猫はあくまでも自然体なのに、猫に癒しを感じる人が多いのはなぜでしょう?「原始の血」という古い学説によると、原始時代の人間は動物の様子を観察することで危険を察知してきました。鳥たちが梢で穏やかにさえずりあっていたり、草食動物の群れがのんびりと草や木の実を食べていたりする様子を見ると、肉食獣や天変地異が迫っている危険性が低いと感じ、人間も平和を感じて安らぐことができたのです。
そうした「原始の血」が私たちにも受け継がれているため、猫が無防備な姿で寝転がっていたり、ゴロゴロなど鳴らせて気持ちよさそうにしていたりする様子を見るだけで、自然と癒されてリラックスするそうです。

ペットと触れあうと人の心身にどんな変化が起きるの?
近年、動物の癒し効果についての科学的な検証が世界的に進められおり、猫や犬などのペットと触れあうことで心泊数や血圧が安定し、メンタル面でも鎮静効果があると言われているみたいです。また、ペットと触れあうことで「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが分泌されるという報告もあるそうです。

ペットと共生することで病気予防にも役立つ?
動物の癒し効果は病気予防にも役立つようです。ドイツでは猫や犬などのペット飼育によって年間約7,600億円、オーストラリアでは年間約3,090億円もの医療費の節約効果があったそうです 。また、フィンランドのクオピオ大学病院の調査では、猫や犬を飼っている家庭の赤ちゃんは、耳の感染症にかかる確率が約5割減、呼吸器の感染症で抗生物質の投与が必要となる確率が約3割減だったそう。 同研究チームは、赤ちゃんが動物と接触することで、免疫機能の発達が助けられるのではないかと推測しています。

猫をリラックスさせるツボはここ!
猫の耳の周りや、額から頭頂部、首、背筋にかけてのエリアには、猫がリラックスするツボがたくさんあります。そのあたりを毛並みに沿ってゆっくり優しく撫でてあげると、猫は気持ちよさそうにリラックスします。
猫を撫でるときにおすすめなのが、歯ブラシです。歯ブラシは猫のザラザラした舌で毛づくろいをする感触に似ているので、歯ブラシで優しくブラッシングされると心地よいのです。

こんな接し方はやめてにゃ
1.じっと見つめる
猫の顔をじっと見つめてしまうと、猫は「ケンカを売っているのか!?」と勘違いして攻撃的になる場合があります。そんなときは、猫から目をそらすことで敵意がないことを伝えよう。
2.騒がしくする
猫は聴力が優れているので、大声やかん高い音が苦手です。猫のいる空間では、あまり大きな音で音楽をかけないようにしよう。
3.しつこくする
よく猫はツンデレといわれますが、気持ちよさそうに撫でられていても、あまりにしつこいと急に不機嫌になることがあります。耳がやや後ろに倒れ、しっぽをパタパタと動かし始めたら、猫が「そろそろやめてほしいにゃ…」と感じているサインなので、解放してあげよう。
4.なじみの場所を変える
猫は、なじんだ空間が変化するとリラックスできません。自宅の改装や模様替えを計画している場合、猫の好きな場所はできるだけそのまま確保するようにしましょう。

引用:獣徳会 吉村・廣瀬獣医師/「疲れた時は猫とリラックス!猫の癒しパワーの秘密とは?」/月刊 元気通信/2020年9月号