東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で選手に贈られたメダルの材料が、使用済みの携帯電話、パソコン、デジカメなどから回収されたことはご存じだと思います。
およそ金32kg、銀3,500kg、銅2,200kgが回収され、5千個以上のメダルの材料となりました。
このように、使用済みの製品中の有用な金属を回収して、新たな製品の原料として再利用することを、回収される金属資源を鉱山に見立てて「都市鉱山」と呼んでいます。
日常で広く使われている携帯電話やパソコンなどの小型家電には、金、銀、銅のほか、コバルト、パラジウム、タンタルなどのレアメタルと呼ばれる様々な金属が使われています。
わが国では、これまでに生産した製品中に多くの有用な金属が含まれており、金では6,800t(世界の埋蔵量の約16%に相当)、銀では60,000t(同約22%)が、また液晶画面の材料として不可欠なインジウムは、世界の年間消費量(450t)の約4倍、1,700tが眠っているといわれています。
これらは、世界有数の資源国に匹敵する規模といわれており、天然資源の乏しい日本にとって、都市鉱山の有効活用は必須の課題といえます。
しかし、過去に使用された有用な金属がすべて回収できるわけではなく、たとえば、埋め立て処分された物の回収は極めてむつかしく、経済的ではありません。
使用済みの製品を散逸させることなく、資源として的確に管理し、リサイクルの輪の中で効率的に再生活用する仕組みが重要となります。
「小型家電リサイクル法」は平成24年に、まさにこの趣旨で制定されました。