自動車産業はわが国の基幹産業であり、国内では一年間におよそ800万台の自動車が生産されています。
一方で、現在、わが国では、年間約400万台が使用済自動車となっています。
自動車は多くが鉄などの金属から構成されているため、総重量の約80%が金属スクラップとしてリサイクルされていますが、残りの20%は、シュレッダーダスト(車体の解体・破砕後に残る廃プラ類等)として、リサイクルが難しく主に焼却や埋め立て処分されてきました。
加えて、処分費の高騰や金属スクラップ価格の低迷等により、不法投棄や不適正処理などが懸念される状況が続いてきました。
さらに、エアコンに冷媒として使用されているフロンガス類は、適切に回収されないとオゾン層の破壊や地球温暖化問題を引き起こす要因となり、また、エアバッグ類の取り外しや処理には専門的な技術が必要とされています。
これらを適正に処理するため、使用済自動車の新たなリサイクルの仕組みとして2002年に「使用済自動車の再資源化に関する法律」(自動車リサイクル法)が制定されました。
この制度では、リサイクルに必要な費用は「自動車リサイクル券」として新車の購入者が支払う仕組みとなっていますが、この費用は主に、シュレッターダストのリサイクル費用、フロンガスの回収、破壊(分解)費用及びエアバックの取り外し、処理費用に充てられています。
法制定の効果は大きく、当時20万台以上あった放置車両が、最近(2022年)では5,000台ほどに減少しています。