産業廃棄物の処理責任は、排出事業者にあるとされています。
排出事業者は、たとえ処理を委託したとしてもその処理責任を逃れられるものではなく、「排出事業者責任」として産業廃棄物の適正処理のための重要な基本原則となっています。
それでは、どのような立場の者が「排出事業者」にあたるのでしょうか。
産業廃棄物ですので、当然、廃棄物を発生させる事業活動に関わった者が排出事業者になりますが、社会経済活動が複雑化した今日、複数の事業者が関係して発生する廃棄物も少なくありません。
例えば、流通業者が倉庫業者に保管を委託した商品が消費期限切れになり廃棄する場合や、親会社から材料の供給を受け、子会社の管理のもとで成型加工した際に発生したプラスチックくずを廃棄する場合など、判断に迷う事例も散見されます。
廃棄物処理法では、建設工事の場合を除いて、排出事業者の定義は明確には示されていませんが、過去には、「その産業廃棄物を排出する仕事を主体的に支配、管理している者が排出事業者にあたる」との主旨の判例が裁判所から示されたこともあります。
ちなみに、上記の事例では、「商品の所有権を有する流通業者」及び「実際に成型加工した子会社」が排出事業者と一般的には解釈されています。
誰が排出事業者か、産業廃棄物の適正処理のための重要な要件ですので、疑義があれば、都道府県の産業廃棄物所管部署にお問い合わせされることをお勧めします。