わが国のPCB廃棄物の処理が最終段階を迎えています。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、優れた電気絶縁性や化学安定性から、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体などに多用されましたが、1968年西日本を中心に発生した、「カネミ油症事件」の原因物質として、その有害性が大きな社会問題となりました。

製造や使用が禁止された後も、処理されずに全国の事業所等で保管されてきたPCB廃棄物(高濃度PCB廃棄物)について、国は2001年「PCB特措法」を制定し、2004年から、全国5か所(北九州、大阪、豊田、東京、室蘭)にJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)による処理施設を設置して、現在まで処理を進めてきました。

PCBは、国際的な取り組みである、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPS条約)」において、2028年までに「廃絶」することが求められています。

条約を締結したわが国でも、国内のすべてのPCBを処理する方針を掲げ、上記の5施設では、約20年という限られた期間で、合せて15,000トン余りのPCBを分解、処理して、「負の遺産」の解消に大きな役割を果たしました。

最後まで処理を行ってきた東京施設も、本年(2026年)3月で操業を終え、わが国の高濃度PCB廃棄物の処理事業は終了しました。

JESCO東京施設の開設業務に従事した筆者としては感無量といったところです。

PCB廃棄物には、このほか微量にPCBを含む「低濃度PCB廃棄物」があり、主に民間により、廃棄物処理法の「無害化認定施設」で処理されていますが、これもPCB特措法により2027年3月までに処理することとされています。