「清掃」と「掃除」、どちらも「ごみやよごれを取り除き、きれいにする」の意味で、大掃除や道路清掃など日常生活で使われている言葉です。

また、現在の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」や明治時代の「汚物掃除法」など法律の用語としても使われています。

このように、広く使われているこれらの言葉ですが、実は、千年以上昔の平安時代においても、今と同じような意味で使われていたようです。

平安時代の様々な決まりを定めた、いわば現代の法律書にあたる「延喜式(えんぎしき)」には、京の生活環境を保つための「清掃」や「掃除」の言葉がたびたび出てきます。

延喜式には、「煤払い(すすはらい)」の手順なども記述され、宮中にたまった煤や塵などをきれいに掃除することが決まり事として定められていますが、現在、私たちが年末に行う大掃除の習慣はここから来ていると言われています。

また、平安京には「掃部寮(かもんのりょう)」という宮中の掃除を担当する官職も配置されていましたが、当時は、身の回りをキレイに掃除するのは、生活環境を清潔に保つだけではなく、厄(やく)を払い穢(けがれ)を遠ざける神事の意味合いを併せ持っていたようで、たとえば掃除道具である箒(ほうき)が神器のように扱われていました。