産業廃棄物の処理を委託された処理業者が、何らかの事由で処理できなくなった場合には、速やかにその旨を排出事業者に、書面で通知しなければならないとされています。

これは「処理困難通知」とよばれ、不適正処理を未然に防止する目的で、2011年の法律(廃棄物処理法)改正の際に新たに規定された制度であり、この規定に反して通知を怠ったり虚偽の通知を行ったりした処理業者は、厳しい罰則の対象となります。

このように、「処理困難通知」の制度は、一見すると、処理業者に対する規定と思われるかもしれませんが、実は通知を受けた排出事業者には、次のような義務が課せられています。

1)排出事業者は、委託している廃棄物の処理状況を、自ら確認することが求められます。
返送されたマニフェストにより確認するほか、処理業者から事情を聴取し、場合によっては実際に現場に行って、状況を的確に把握する必要があります。2)廃棄物の処理が終わっていない場合には、廃棄物の長期間放置等の不適正処理につながらないよう、必要に応じて別の業者に委託し直すなどの措置をとることが必要となります。
3)さらに、排出事業者は「処理困難通知」を受けてから30日以内に、処理の状況や措置の内容等について、「措置内容等報告書」として都道府県知事等に提出しなければなりません。

このように、「処理困難通知」をめぐる一連の手続きは、『たとえ処理を業者に委託したとしても、処理が適正に終わるまで、排出事業者が責任もって確認しなければならない』という排出事業者責任に基づいた規定と言えます。