「プラスチック資源循環促進法」の施行に伴いプラスチックのリサイクルが改めて注目されていますが、製鉄所において鉄を作る際に、廃プラスチックが大量に利用(ケミカルリサイクル)されていることをご存じですか。

日本鉄鋼連盟等の資料によれば、年間30万トン以上の廃プラスチックが製鉄の現場で再利用されており、これはわが国のプラスチックリサイクル量の約3%にあたります。

鉄を作るには、鉄鉱石とコークスなどを溶鉱炉に入れ鉄鉱石を融かして鉄を生産します。
この時、コークスは燃料として炉内を高温にするとともに、含まれる炭素(C)が鉄鉱石の主成分である酸化鉄から酸素を奪う還元剤として働きます。

一方、プラスチックは主に石油から作られているので、炭素(C)と水素(H)が主成分です。

製鉄所では、廃プラスチックを蒸し焼きにしてコークスの原料として利用するほか、溶鉱炉に廃プラスチックの微粉を直接吹き込み、成分の炭素(C)と水素(H)を還元剤として利用しています。
これらのリサイクル手法は、わが国の鉄鋼業の高い技術力を背景に開発され、現在では、製鉄の現場において着実に実用化されています。  
 
鉄鋼業のスケールを考えれば、リサイクルの能力にはまだ余力があると言われており、今後ますますプラスチックのリサイクル需要が高まることが予想されることから、さらなる受入の拡大が期待されます。