拡大生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility)とは、生産者が製造した製品に関して、品質や安全性の点で責任を負うほかに、使用後に廃棄される際にも、適正処理やリサイクルに対して一定の責任を負うべきという考え方です。

具体的には、生産者が自ら使用済み製品を回収し、的確にリサイクルする仕組みを構築し、その費用も負担することなどが想定されています。

拡大生産者責任は、OECD(経済協力開発機構)で提唱され、世界的に認識されている環境政策の概念であり、わが国の循環型社会形成推進基本法にもこの考え方が取り入れられています。

廃棄物処理法では「適正処理困難物制度」や「広域認定制度」などでこの考え方が取り入れられており、その他個別のリサイクル法である容器包装リサイクル法や家電リサイクル法などでも、制度の根幹として、生産者等にリサイクル体制を構築するよう求めています。

また、資源有効利用促進法において、充電式電池の回収を電池メーカーに義務付けているのも、拡大生産者責任に沿った仕組みといえます。

拡大生産者責任の背景には、製品の性状等は生産者が最も熟知しており、また、生産者に対して、長寿命且つリユースやリサイクルがしやすい製品を開発、生産するインセンティブとなることが期待されるためと言われています。

廃棄物の性状が複雑化し、それらの処理やリサイクルを的確に進めることが求められる現在、拡大生産者責任の考え方は、今後とも重要な方策の一つとなるでしょう。